筆跡鑑定研究室

◆筆跡鑑定の御説明◆

当研究室で行われている筆跡鑑定とは、

①執筆者が不明な文字(鑑定資料)と、

執筆者が特定されている文字(対照資料)を比較鑑定し、 同一人の筆跡か否かの結論を導き出します。

◆筆跡鑑定の分類◆


筆跡鑑定の分類は大きく分けて二種類あります。

 

     Ⅰ:筆相学(グラフォロジー)

     Ⅱ:比較筆跡鑑定


「グラフォロジー」とは、「執筆者の筆跡を観察し、執筆者の性格などを推測する筆跡学」で、出版物など多くあり統計学に基ずく鑑定です。

当社が行っているのは、二番目の「比較筆跡鑑定」であります。これは、「筆跡を比較し、同一人であるか否かの判定を下す鑑定になります。


◆常同性を主軸した客観的手法◆

常同性とは内因的要素が起因する筆跡状態を指します。

執筆者の長年蓄積された執筆活動において完成された個有の筆跡で、同一の執筆者が同一文字、同一画、類似文字を執筆した際に送筆画の表現がほぼ同じ様な筆使いの状態が出現する現象があります。この執筆者の慣性を資料から抽出し異同の判定を行います。この手法を用いる事によって外的要素が起因する筆跡に対しても極めて正確な異同の判定が可能になると考えます。

◆比較筆跡鑑定判定基準◆

比較筆跡鑑定におきまして、原則的に「同一文字・同一書体」の比較により、異同の判定を下します。


「同一文字」とは、例えば「田」の文字であれば、同一文字である「田」と比較分析を行います。

ひらがな・カタカナ・アラビア数字(1,2,3・・・)なども同様であります。


「同一書体」とは、「楷書体」なら「楷書体」、「行書体」なら「行書体」、「草書体」なら「草書体」との比較が原則となります。

たとえ同一文字であっても、一画一画がしっかり表現されている「楷書体」と、画が省略されて表現されている「行書体」や「草書体」を比較しても異同の判定が極めて困難になってしまいます。


「類似型文字」これは、例えば文字の完成状態は異なっていても、「偏」部や「冠」部などが同一の文字の事を言います。

この様な場合は、幾つかの同一文字がある中で、総合的に判断する場合に活用する事はありますが、「類似型文字」だけで、異同の判定を下す事は非常に危険な為、補足的にしか用いません。

◆比較筆跡鑑定に係わる判定ポイント◆


実際に比較鑑定を行う場合のポイントとして、大きく分けて4つ項目をチェック致します。


Ⅰ.結構・形態に関する事項(形態)

Ⅱ.送筆・運筆に関する事項(流れ)

Ⅲ.筆圧に関する事項(筆圧)

Ⅳ.その他の事項


Ⅰ.形態に関する事項

文字の形、姿勢等、文字を図形として捉え詳細に検証します。

.送筆、運筆に関する事項

筆裁き、筆使いについて詳細に検証します。

Ⅲ.筆圧に関する事項

筆圧ついて詳細に検証します。

.その他事項について

Ⅰ~Ⅲ以外の文字の配字、希少性、誤用等詳細に検証します。


まず、「筆跡の性質」を詳細に分析し、更に「個々の具体的な文字」の分析検証を行い、最終的な決断を下します。

この事から、より鮮明で厳格かつ公平な客観的判定を実施しております。